ザ・ブーンンンンン/砂木
足が欲しいなあ
砂にうもれながら
サンダルはつぶやいた
私のもう片方は 波がさらったのに
どうして私は砂にうもれているのかな
私達を歩かせる足があれば
ひとつになれるのに 一足なのに
どうして
どこにいってしまったの 空さん
ああああ それは無理ってもんさ
足があったって海は渡れないよ
なんだい おれら砂の中だって
いい夢はみれるんだよ
ほら もうすぐすべて忘れられる
子守り歌を歌ってやるよ
いらない 歌なんかいらない
生まれた時から ふたつでひとつだった
この広い波の瀬戸際に 置き去りにされ
失った意味を超えて 共に海を見た
歌なんか歌わないで 歌に
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