君と一緒だった八月を、僕は知らない/クリ
抱き合いながら
ひとつの紙コップから
熱いコーヒーを同時に
飲もうとした
その距離は二月の彼方
送らなくてもいいと言う
その理由を知りたくて
聞けないまま過ぎた
またこうして膝を抱えた
何度目かの八月が巡る
僕は…
イルカを見たね
一緒にジャンプする
二頭のイルカを見たよね
一緒に同じものを
見たねぇ
その水しぶきは雲の向こう
思い出は…
思い出は
ほんの少しも君のものでなく
思わせ振りの言い訳は
ひとことも君に届かず
けれどふたつだけ
まだ君のもののままでいる
「 」と「 」
君と一緒だった八月を
僕は知らない
少しずつ冷えてゆく何か
そして来るたびに
やり切れない暑さを増す
八月のとき
君のもの
僕は…
連詩の一連として投稿済みのものを単独で再投稿
Kuri, Kipple : 2002.08.03
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