なき雪/
かんな
海岸にたたずむと
なぜだかいつも
雪がふる
手のひらに
結晶の一つがのると
出会いだ
と勘違いしては
スーッと溶けてゆくと
別れだ
などと悲しがる
雪がつもり
薄っすらと海岸を覆うと
サクっと踏み込む
きゅうと鳴く
残った足あとは
何だか
さみしさを知らない
あざのようでいて
流れる
波に移ろいながら
泣いている
過ぎていく
季節は
憔悴していて
手のひらに残った水滴を
ひと口
舐めてみると
ただしょっぱい
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