ひるねこ よるねこ/いとう
 
いる
暖まるとともに粘りがなくなり
さらりと流れ出し路上を覆っている
影の中には入らない
よるねこ(の形)は
影に沿って定められる}


口腔からひるねこが入り込む
鼻腔からも入り込む
(間隙に)滲み入りながら
浸透し 変質し
漏洩する 噴出する
そのように
ひるねこの名は獲得される
(境界は)溶け出していく


夕焼けがよるねこを苛立たせる
敷き詰められたよるねこがいっせいに
沸騰し 膨脹し
蒸発する 拡散する
そのように

よるねこは名を変えていく
(夜に)向かい(窓を)狙う


朝焼けがひるねこを落ち着かせる
部屋にいたものはすでにひるねことなり
ひるねこの辺縁は失われている
光とともにひるねこは固まり始め
群れとなって路上に佇む





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