凌霄花/蒼木りん
 
のうぜんかつらはからまるの

のうぜんかつらはからみつき きにからみつき

いつかじぶんがきになるの


あの樹の下で抱きました

背に腕まわし触れました

確かに刻む鼓動の音を

しばらく胸で聞きました


のうぜんかつらはのうをきずつける

のうぜんかつらはめをつぶす だれのめをつぶす

ばちあたりがあるいている


花盛り女ざかりの眼差しの

表は裏のある顔隠せずに

いま濡れてきました

恍惚の身体ふらりふらり


のうぜんかつらはあめにぬれ

のうぜんかつらはゆらされて ゆりゆらゆらされて

のぼりはてるまでしめつけた


まるで別人のあの時は

誰も知らない女です

凌霄花の化身です

花落ちる前に

名も知らぬ男の手に摘まれます



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