さようなら東京タワー(即興/よしおかさくら
 
既に知っていることをまた
振り返って
つまらないことと思い直す
夢は夢
胸に灯された光は
なんだったのか


キンモクセイの季節と人は云う
小道の角を曲がる時感じた匂いを
記憶の中にも見つけられず
大きな通りが嫌になりました

さようなら東京タワー
非日常を充分愉しみました
人が住める場所なのと聞かれて
住んでいますなどとよくも云えたもの

生家はもうないけれど
慣れ親しんだ町に帰ります
さようなら東京タワー
人生のうちの大切な時間だった



先に待っていることをまた
振り切って
積み重ねが肝心と頷く
夢は夢
胸に灯された光を
仕舞っておこう

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