ひつぎが一匹/ピッピ
 
落ちていくとはいつでも一方向である
僕らはそれでも迷い続けているのだ
ひっくり返せない砂時計の中で
僕らは底を探しながら落ち続けているだけだ
いつかは底に着くだろう
それが望むものじゃなかったとしても
そこにはしかばねがたくさん連なっていて
きっと僕もその1つとなるのだろう
落ちていく途中の風景はキラキラしている
それはガラスの外側だ
あそこにはいつまでもたどり着けない
死のない世界がうらやましい

耳を傾ければ
凡人の言葉しか聞こえない
ここには凡人しかいない
それ以上も以下もいない
みんな死んだことがないんだ
そう思うと背筋が寒くなる
落下速度は
もう速
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