回転する蜻蛉/しめじ
 
 人魚が干されている。悲しい目をした犬がそれを見て吠え続ける。雨の上がった夕暮れ。漁師が身の丈ほどある銛を担いで海から上がってくる。彼は干された人魚を見て笑った。そこへ一升瓶を持って女がやってきた。漁師は干人魚を開いて網の上に乗せる。雲の間からちらちらと星の光が覗いている。炭を熾して人魚を炙ると、乾いた血と肉が焦げる匂いが漂い始める。その匂いに惹かれて斑猫がやってきて七輪の隣にしなと座る。漁師と女は酒を煽って明日の天気の話をしている。

「洗濯バサミがのうなったんだ」

 女はそう言って右手を差し出す。漁師は地面に落ちている洗濯バサミを拾って女の手に乗せる。洗濯バサミを受け取ると女はそれで
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