帰路/umineko
 
斜面を切り分けて
父の家が建つ
小さな

直方体を
重ねただけの
たぶん
遠い質量の

かたちのないたましいを
とどめおくために

ほっとした表情で
母は告げる
これで
私たちも大丈夫

私たちも?

そうか
そうだよね
自分も帰るのか

この
退屈な風景を
見下ろしながら眠るのか

もう一度
あなたに逢いに行こうと思う

何かを
確かめるために

貨物列車の
遠い汽笛を

私の中に聞くために
 
 
 


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