日曜日の曇り、ミカゲイシの隙間/むらさき
ときと
同じようなしかめつらをして
たばこをふかすあんた
もう一度だけ見せてよ
その眉間のしわ
あたしは語りかける
ぶつぶつと
覚えたての
お経を
慎重に英訳しながら
ミカゲイシのほんの隙間に
唇を押し当てて
それに合わせて
あんたは高らかな
口笛を吹いてくれる
お墓の表面には
電光掲示板みたいに
あたしたちの歌が
流れていくのよ
歌い終えて
少し汗をかいた
健康男女のあたしたちは
固くて白い石の間で
お互いの唇を吸うのよ
気が済むまで
ええ ええ
どうしても眠りたくない
眠りたくないのよ
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