わたしは秋/乱太郎
 


    (わたしは秋
     枯れゆく落ち葉のしたで
     春の夢を待ち焦がれている)



北国の夏はぬるい
日焼けした肌
汗臭いTシャツ
サングラス
海と空がひとつになって
青い物語を書き込む



    (わたしは秋
     風になる
     窓をこするさみしさを
     山の彼方へ飛ばすために)



北国の冬は深い
雪だるま
つらら
手袋
何もかもが凍りつく
大地の心臓までも



     (わたしは秋
      いつしかここにいる
      いつまでもここにいる)
      
 


   緑一色だった木々の葉が
   赤や黄色に変わっていく
   まるで
   隠していたものをさらけ出すように



  (わたしは秋
   百年の眠りに就く秋)

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