眩暈/蒼木りん
 
気を誘う熱風

『ならば 私を抱いてみなさい』

蘭のかたちが振るえ挑発する

唇は月に光り

紅の花のようにほころぶ

晒された白い肢体の間から

ふしだらにあまい蜜をこぼす百合の雌蕊

蝉時雨に真昼の闇は渦巻かれていく


眩暈の中に見る幻影


若いススキが刃物のように

分け入る私を傷つけるから

白い腕に細い血が滲む

それを

私の舌があなたの舌となって嘗める



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