愛撫/石川和広
なに
書いてるのかな
風がみどりの木をゆらしているのは
巨人がおどっているから
と
彼女が申すので
書いてみた
僕が思うに、目に見えないってのは
風もそうだけど
見えないような感じなので
その実 音は聞こえている
暗い部屋
に、ぐんぐん金と茜の重なった光が
差し込んでくる
ただ、ふたりが昼寝から目覚めて
カーテン開けただけ
世界って
変わる
うつくしいと感じるのは
ふたりが手をつないでるから
も、あるけど
贅沢なんだが
もう風が巻かれてビルを抜けて
明確に その空気はぼくらの体中なでまわし
とおい観音様の胸にもふれるだろう
すけべなものは美しい
風は
美だ
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