うすぐもり/佳代子
うすぐもりの空が今日はこんなにも暖かい
白い日は照ることもなく
陰る事もなく
藪の中のぼんやりとした真昼のお葬式
赤らむ葉先のお灯明
風振るわせ ひぐらしの
胡弓の音がわたり
少女のハンカチーフには
夕焼けに焼かれた蜻蛉が
夜を探していた
日々 めぐり
風車のように
後ろ姿の残像ばかりが
駆け抜け去っていく
散り散りになった声の骨
かき集め耳を寄せると
遠い日が戻ってくる
いつも 追う側の私には
十三の痛みと
十三の快楽と
十三の苦さとを持って
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