キャンドルナイト/飛鳥 彰
 
う。


すがすがしい空気の中で
息苦しさから解放された
自分の美しい姿をイメージしてみよう。


見知らぬ天使の羽根に
やさしく温かく包まれている
自分をイメージしてみよう。


銀河の果てから星降るように
金の流星群が自分にやさしく
降り注いでいるところをイメージしてみよう。


そっと目を開けたとき、
世界が雨上がりの空のように、
虹の橋を架けているかも知れない、
そんな美しい予感に少し震えてみよう。


収穫祭の歌が優しく流れ
果実酒やジャムやジュースが
倉の中でゆたかな香りを放っている、
そんな芳醇な時間を感じてみよう。


グラスに注ぐのは永遠の美しいしずくの酒
カップに満たすの琥珀色に輝く銀河の涙
白いノートに溢れるのは愛しい人への愛の言葉
キャンドルナイトの窓を照らすのは
さんざめく星と月の影


今宵は何もなくて
しかもすべてに満たされた不思議な夜。
祝祭と祝福にいろどられた
空間をしずかに飲み干して
時間が翼をひろげて舞い降りるのを目撃しよう。



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