石女/狸亭
青い草の原によこたわる石女(うまずめ)よ
おまえの頬は桃色にかがやいている
それは太陽の光がつよいからだよ
かつておまえを生んだ母のあのスマイル
あれはそんな風にかわいてはいなかった
夜の海辺にたたずんでいる石女よ
おまえの黒髪は愁いにつつまれてる
それはね夜の露にぬれているからだよ
おまえは月の光線にてらされている
けれど沈黙はあんまりにも重かった
わずかばかりの知識を学んでしまった
守銭奴のようにね蓄えてしまった
おまえの痩せ細ったからだにはもうあの
柔和なおんなの息吹もない花園
いつまでも白い道を歩きつづけてる
おまえのその目ときおり彼方をみあげる
おまえの瞳の奥の底に夢が無い
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