宙ぶらり/naru
肉も骨も脳も
いらないとおもった
ぼくはそれくらいやけっぱちで
噛み付くように吼えた
どういう言葉が人を傷つけるだとか
どういう力が人を押しのけるだとか
頭の悪い計算はしなかった
肉も骨も脳も
いらないとおもった
ぼくがそれを差し出すのなら
世界も変わるとおもえた
この体を預かるといった人が
いなくなり
ぼくの体は宙に浮いた
ああ
こんなとき人は死ぬのだ
真っ白な頭になって
涙を一滴たらして震えた
ぼくの決意とは裏柄に
世界はびくともしないで
ぼくに呼吸を促した
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