流体/kauzak
暗闇の中 せせらぎの音だけが響いている
ぼんやりと見える水しぶき
岩陰には何も潜めないようで
だがそれは思い違いにすぎなくて
水しぶきのように見える放物線
微細な魚たちの鱗の鈍い光がこの闇を満たす
闇が晴れてくる 鈍い光に浸食される
私の汗を一晩たっぷりと吸った布団での目覚め
自分の体臭は馴染みすぎて感じられない
流れ去った体液を補充するために
だるい体を引きずるように冷蔵庫に運び
作り置きの麦茶を流し込む 味がしない
零れ続けているのは体液ばかりではないと
啓示のように胸の奥に空白がひろがる
拠り所を見失って久しいのだ
何もないまっさ
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