九月/おるふぇ
るのでしょうか
柔らかな笑顔を今も
時折、思い出し
懐かしさに浸るのです
初秋の風はよく晴れて
高く青い空に吹き渡る
ぐっと力を込めて立つだけの僕の耳には
先生の声が深く染みているようで
何かをはじめようとして
時間とはまたすれ違う
九月
ほんのわずかな心の間隙を縫い
戻れない道の突端に立つ
いくつものふれあいが
横切っては心に混じ入る
卒業から数えて
それなりに遠去かった一地点
泣くという行為を久しぶりに思い出した
僕らの痛みよ
情熱に変われ
愛すべきこの街で
また生まれ変わろう
憎しみのすべてよ
明日の歌になれ
背後に続く影法師
青臭い夢物語を
無地のキャンパスに乗せて
壁を越えようとして
絶望を超えようとして
素直に涙が溢れる
もう教室には戻れない
この足はふらつきながら
もっと遠い場所へと向かう
今日くらいは先生
あなたに抱かれてもいいでしょう
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