カルマタワー Antena/影山影司
 
が無意味にざわつき造り上げる山
 あるいは逃げ出すための階段
 もしくは空へ昇るための孤塔

 俺も、彼も、誰もが腐り果てた顔して
 口々に「何故だ、何故だ」と繰り返しながら ただただ積み建てる石塊(いしくれ)の連続 時折同胞のフリした偽物を刻み鬱憤を晴らしたかと思えば「俺も偽物かもしれないもの」と妄想に呻き苦しむ

「何故こんな腐った世の中に生まれたのか」
 自らの体から立ち上る腐臭嗅いで吐いて
 造り上げた何か、それはアンバランス極まりなく
 風が吹く度に崩れてはまた積み直す

 つくることしかしらないんだ
 つくることしかしらないんだ
 腐った脳味噌の何億回の計算の積立 その果てに得た考え


 造り上げたそれは何か誰も知らぬが
 やがてそれは突き出た何かにはなるだろう
 ビカビカと稲妻受け止めるそれは アンテナとなるだろう
 アンテナに走る雷土(いかづち)の力 熱、音、全てが 我々に等しく素早く走る
 灼熱をもって、業火によって、罪深き我らは一吹きで飛ぶ灰に帰すだろう
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