「愚痴」/広川 孝治
どこまで歩き続ければいいんだろ
この果てしなく続くように思える道のり
一歩一歩の繰り返しがあまりに単調に思えてしまって
変わらない景色と変化のない緩やかな上り坂
どうしてこの道を歩き出したのかとか
どこを目指していたのかなんて
もう忘れてしまったよ
振り返ると大勢の人影が同じように黙々と歩いている
おもしろくもなさそうに
うつむいてただ淡々と
前を見ても同じように背中を丸めた人たちが
ただ距離をこなすためだけのように
小さな歩幅で歩いている
いつの間にこんな人混みに交じっていたんだろ
最初は誰か一人だけが先を進んで
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