曲馬団/佳代子
まるで橋を渡るように
月の町と日の町が
時の海の渦の中に
一つになって溶けていく
知らない町
知らない人の群れ
立体裁断の服の子らが
同じ顔くっつけ喜びはしゃぐ
人形のような老婆が
切符を切る
飴を売る
乾いた手が宙に舞う
蝶が舞う
境内飾るビロードの
赤い垂れ幕夢狂い
重なる連中鳩のよう
破れテントがはためく
女団長の黄色い声
獣の雄叫び ムチの音
口から蛇を出す蛇遣い女に
私は首をすくめた
手の中で飴は水になった
ピーポッポの回転木馬
ぎしぎし音立て回ってた
一重まぶたの町子ちゃん
桃色サテンのシナ服娘
遠い記憶に
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