言葉と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる4/もぐもぐ
てみよう。<語ること>。私はフランス語は分からないので英語to sayで検討してみたいのだが、toには単に「〜すること」という意味(不定詞の名詞的用法)だけでなく、「〜するための」とか「〜するべき」という意味合い(不定詞の形容詞的用法)も含まれているように思われる。<語ること>の前に「何か(something)」を補って考えてやれば、something to sayとなり、何か言うこと、何か言うべきこと、といった意味が生じる。
この観点からすれば、<語ること>は、「語るためのこと」「語るべきこと」でもある。そしてそれは、日常的な言葉でいえば、上の「言いたいこと」という言葉で指し示されているものと
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