はぐる、ま/ねことら
かたん。
わたしの、やわらかい場所が、いい部分とわるい部分とに、ひとつひとつ解体されていく。いい部分は、礼儀正しくつるんとしていて、感触がない。わるい部分は、どれもいびつに明滅していて、美しい蛍のように見えた。わるい部分だけ、はずされていくので、なんだか残念な気持ちになった。
ことん。
透明度の高い水銀のみずうみをのぞきこむと、底の方にはたくさんの遺体が腐食してしずんでいて、燐粉をちらしてわずかに発光している。その、ゆれるようなともしびにさそわれて、今夜もまた、はだかのまま、ふかくからだはしずめられてゆく。
かたん。
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