朝/ぎよ
 
眼が痛む夜を
長靴を履いて跨いでゆけば
林檎の核に
赤紫色の朝は満ち
ランドセルは旋回
どこまでも途切れることのないジャングルジムが
徐々に可視化する
世界の不自由
狂気の科学者の質素な朝食は
ゆらゆらと揺れている
詩集の山から谷へと
宇宙服を着た風呂桶が
美しい測量をしている
雲海に生息する魚類の
雄叫びがフジヤマを下降すれば
隣の庭は鱗に覆われる
線と線
点と点
の彼方で息絶える夏の昆虫たち
その上空で音もなくロケットが爆発する

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