帰路/qqqqqqqqq
うわぁひどいな
決した意を色落ちの醍醐味をようやく醸し出し始めたジーンズの後ろポケットに入れビルを出る
非浸水面積を最小限に収めようと病み上がりの師の背後をスリップストリーム
足元はジャックパーセル
スリップの可能性と戦いながら坂を登る
お互いの声は掻き消され聞き取れぬがその意味を察する事は容易だ
坂を登りきった辺りで我々の下した決断に浮かんだ二文字と
行っている航海との皮肉に苦笑する
バスが何台か通り過ぎていく
今直ぐにでも乗りたいのだ
信号は雨脚と同じく変わらない
その間、駅までの道のりを逆算する
途中で雨宿る選択もあっただろう
そうしなかったのは惰性かポケットにしまった意志か
進み始めた傘はお互いの無事を祈り別れる
もしその様を国道246号線のねじれの位置から眺めていたならば
どんな感情が私を打ち付けただろう
72年、井上陽水の名曲「傘がない」で歌われた傘の色が
私が差しているvinylのそれだったならば素敵である
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