虹/モリマサ公
 

ぶれておばけのごとく宙を舞い
空がまた新しく大胆に一枚一枚それぞれに破けて
なくしたものはさがしてもなくて
地図がひろがって道はどれも偶然につながってどこかまばゆく
メトロが徐々に各ホームを離れ加速し
ベクトルがささやきながら旋回し
バイパスはまだまっしろく
産毛たちがつぶやくいくつもの意味に絶望しながら
なお立ちあがり
捨てられた幸福を切り裂き瞬くその輝きを吸い込み
おぼろげながら記憶をたどり吐き出し
なくしたものはさがしてももうなくて
ゆっくりとたしかに虹や生きた子供たちの骨がのびてゆき
ゆっくりとたしかに虹や生きた子供たちの骨がのびてゆく

 
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