二十年前の事/砂木
弟とテレビをみていた
目の前にひろがっていたのは
銃を構える軍隊と対峙していた
花を構える国民だった
圧政のため起こった反乱で
政権をくつがえした力
睨みあったまま銃撃は起こらず
花を手に手に 高く掲げた男性達も
一歩もひかなかった
私は 花と共に銃を持っているのか
までは気がまわらず
花を持った人々の後ろに援護の銃があるかも
とも思わず
ひたすら銃と花をみていた
自国の民を守るのか 政権を守るのか
仕事か 命か
おとりや捨て身になる人々は
どうしているのだろう
訓練を受けている者も
前ぶれもなく穏やかな陽射しに咲いている者も
今だ
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