しまい忘れた風鈴/小川 葉
 
 
僕は釣りに飽きて
木陰に隠れて自慰した

木陰から戻ると
大きな鯉でもかかったのか
父に借りた釣竿が
遠く沖に浮かんでいた

それは時々
生き物のように動くのだった

ボール遊びして
工場のガラスを割っても
父は叱らなかった
かわりにいつも
頭をなでてくれた

あの夏の日の風鈴が
窓辺で今も揺れてる
 
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