スリップ注意/オイタル
 
原のお茶目なゾウの足跡の
(哀れなヌーの叫びもあって)
その先に
「スリップ注意」の看板は遠くおののく

「何がスリップ? 何をスリップ?」
晴れた日 海沿いの道路
瀟洒な茶店のドアを開けると
カウベルは嘆き
(小さなミルクの壜で待ってたわ)
彼が真っ白なTシャツで片手を挙げた
その先に
「スリップ注意」の手痛い看板

ゆっくりと停車した
赤い信号灯と白い看板
眠ったままの出窓
何も変わらぬはずの朝の
「スリップ注意」の看板の陰を
キリンの大きなあくびが
ゆっくり過ぎてゆきました。
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