童話(詩)/
たもつ
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気がしたので
4Bの鉛筆で大きな三日月を描きました
窓に明かりが灯り始め
人々の話し声や装置の動く音が溢れ出す
その間にもどこかでまた言葉が生まれ
詩と呼ばれます
明かりのない窓の向こう
誰かが小さく咳をします
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