秋風の町/doon
忘れ物を 捜して
どこかへ行こうとしている
歩いて生きる私は
何処へ
問いかけ続けて 何で といい続けて
揺れている
この町 あの町で
風が吹く
とくに秋の風が吹くと
探していた何かを舞い上げるような気がして
ハッと
透き通った青い空を見上げるのだ
そうして俯くとき
消え入りそうな目で
泣いてみたくなるのだ
本当はこんな一人でいる事が嫌でたまらない
何処へ行っても構わないくせに
何処で死んでしまっても構わない異常事態に
徐々に寂しさがたまっていく苦しさ
離れてゆく知人
私に
話しかけてくる音さえ薄くなってゆく
時折聞こえるのは風の音
あの 心に刺さる秋の風の音
忘れ物を捜して歩いて
探していたものさえ忘れて
町を練り歩く
一人
また一人とすれ違うたび
秋の風が間をすり抜け
私は一人
冬の風が来るのを待つ
戻る 編 削 Point(2)