不安定な安定?ユーリさんの朗読について/渡邉建志
 
朗読するときのユーリさんの自意識過剰はメタである。他の人の自意識過剰がストレートに発せられるのとは異なり、彼女はじぶんの自意識過剰をメタレベルから冷静に観察していて、それにいらだちながら読んでいるから、いつも冷静で、かついつもいらだっていて、朗読中に15回噛む事にいらだちながら、そのいらだちが不思議ないらだちリズムとなって聞くものの中に生物的リズムを形成していく。それは、ほかの自意識過剰な人たちのストレートな朗読が即物的リズム(たとえば音楽のビートとあわせてしまうとか。音楽を流した時点でこのひとは負けだ、といつも思う。あるいはメトロノームで練習するとか。音楽でもそうだが、メトロノームというものはあ
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