夕方/
岡村明子
新しい駅の階段を下りながら
夕焼けの美しさに見とれてつい 足元をあやうくする
帰宅を急ぎ行く群れの中で
私はくしゃみのようだったか
(誰も振り返りはしない)
毎日を同じようにくり返していたら気づかなかったこと
どこにでもあった夕焼け
振り返ると
浮遊する恋の面影が
形をあらわしていた
地面に這う私の影
ゆるやかに
長く伸びて
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