足跡/
皆月 零胤
ふたりで
ずいぶん夏を歩いてきたね
波打ち際を振り返ってみると
たくさんの足跡が打ち上げられていて
見えないところまで続いている
きっと想い出になる時がきたら
一斉に海に帰ってゆくんだろうね
あっという間の夕焼けの中を
飛行船が飛んでゆく
予想以上に速いスピードで
違う色で塗りつぶされる前の空を
夜をすり抜けて空の向こうへ消えてゆく
足跡はまだ動けないまま
ただ潮騒を待っているだけ
風に吹かれながら
どこか遠くの海のことを考えている
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