僕らの休日/小川 葉
父さんと
楽天の試合を見にいった
けれども本当は
野球よりも球場を一周する
小さな汽車に乗りたかったから
父さんは入場券をポケットにしまって
試合が終わるまで
何度も何度も汽車に乗せてくれた
帰り道は少し離れた駅まで
父さんにおんぶしてもらいたかったから
父さんはリュックを胸にかけて
駅に着くまで
どこまでもどこまでも
おんぶしてくれた
父さんの背中に
僕は鼻をくっつけたり
ホッペをこすりつけたりして
揺れながら
いつまでもいつまでも
父さんのにおいがした
おなかすいたね
そう言って父さんは
駅までの道を少し遠回りして
静かな裏通りの
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