深夜メランコリー/笹子ゆら
セックスしようと思ったのはついさっきで
その相手がいないと気付いたのはもっと前だった
.
昨日スパゲッティを食べた
くるくるとフォークで麺を絡めると
ほどけそうになったので
急いで口に放り込む
添加物の香りが、妙に鼻についた
.
知らない合間に時間は進んでいる
そこから生まれる寂しさを
瞬きを繰り返して
やり過ごそうとするのだけれど
どこかしら冷ややかなまま
わたしはくちびるを揺らす
不具合だとでも言うように
.
舌に残ったミートソースの味か
それともなんなのか
別にそんなことどうでもいい
苦いか甘いかなんてそんなこと
今更
.
選別する
きみのことは嫌いじゃないけれど
と彼がつぶやいて
.
深夜、布団の中で呼吸を狂わせる
まつげが震えるのは必然的であって
涙が出るのは、あなたのせいだ
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