空白/健
+
かたりかけることの
難しさについて
ずっとかたりあいたかった
遅くはないと 思ったころには
もう それはきのうのことで
なにひとつ 言葉にはできずに
なにひとつ の
ひとつを ひたすら探してばかりいた
+
だれが
そこにいたのだろう
だれが
ここにいるのだろう
一瞬の沈黙が
とめどなく成長を続けて
津波のように押し寄せる ゆうぐれを
今日もまた
ため息と一緒に
飲みこんでしまう
+
+
いえなかった言葉を
もう一度 口ずさんで
きのうの空白へと 耳を傾けた
ぼくの中で
ゆうぐれはよるに変わり
どこまでも 広がり続けていく
窓の外にはただ
外の
メロディが
優しく鳴り響いて
その先を
*
知りたくはなかった
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