[恋の煙]/東雲 李葉
 
たよ。

  貴方の自由に侵り込めたら、
  貴方が自由にできたら、
  貴方の自由になれたら、

何一つ叶わない世界もあるものね。
偉い人が決めてくれた相手は「これも運命だよね」と、
諦めたように笑って私に同意を求めてきた。
彼も赤い赤い汁を溢れさせているから、
余計に悲しくなった私はきっと罪人になるでしょう。

想いたいから想うのは私の自由の範囲内。
だから私だけの都合で貴方を愛したのに。
どうして見返りが欲しいの。貴方の自由が欲しいの。
ずっと近くにいられたら。ただそれだけでよかったのに。

恋、なんて厄介なもんは消えてしまえばいいのに。
熱くて焦げたりむせび泣いたり、煙が目に染みて痛いわ。
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