睨子問答 一『荒ら屋にまつろわぬものが爪の痕』/人間
しろというのです!」
「”偉そうに”とは作為す印象の汝がなる、そに非ずは朕にある。
”なにをしろ”や”なにをするな”は規定の行程でありる、程度の各々のあるに修行の。
もしもの汝に朕らば、なにもしないをするのが朕とある。こは、しろ、するな、に非ず」
「八釜しいわ知障!失礼ですが、帝のお言葉は禅問答的な言い逃れとどう違うのでしょう」
「通り仰せの、違わぬ、言葉上は。全く然し別む、違うる、実際は。
こは朕す所を指す朕、上も下もの言葉無くも在る所。
汝の己、生きつ戻りつ言葉を行いを見聞きする慎重、そのなにもしないを言う朕」
「浅学菲才無知蒙昧闇雲若輩の私にはまだ分かりません。
また訪問させて頂いても宜しいでしょうか」
「時期よ頭脳よの問題に非ず。
いつでも参るを良しなに。遅む今宵、泊まりゆく汝か?」
朕と安堵ろ子山羊が十文字にて雑魚寝、良き仲に無き帝も民も、しかるに息苦し朕。
刺さむ朝陽に翳るオジギソウの蕾を見詰まる眠りなむ朕。
〜 了 〜
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