万華鏡/ さくら
 
秋を潤わす金色の木立は 
この時季、配色に惑うのです 
茜色に染まった夕陽は 
黄熟した稲穂を金色に光らせ 
時を刻む砂時計に全てを託した 
ざわめきと胸の鼓動は止まらない 
赤く焦がした肌は 
夏の輝きを忘れられず 
熱を佩びたまま 
冷水に飾らない手足を浸しても 
夏は置き去りにできない 
蝉だけは 
変化に気付いたのか 
何かを突然思い出したかのように 
振り絞った鳴き声で 
一頻り夏の終わりを歌うのです。 
私は丸い筒を大空にかざし 
万華鏡を創ってゆく 
鏡に反射し 
映える世界を 
くるくる回し 
これから見える 
新しい模様の 
想像に耽る
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