雨乞い/雨を乞う
 
靡かせて、びょうびょうと鼓膜を裂く風の中で僕の声を聞いてくれ。ああ!

 随分と愚かな乞い(恋)をしていたよ、僕の詩はいつも巧く届かないで墜落していく。どうせ出せない手紙を抱いて、冷えていく身体を温める術を知らない。大雨の矢が痛覚を甘く刺激する。ごうごう、ノイズになった夜が引力の存在をしたためる。翌朝の寒冷前線、物体の損失率、永劫主義の反復、無垢な振りした踊り子のシューズ。

 呼んだって届かない、だから指先で触れたいと願うけど、ずぶ濡れの皮膚にあるものなんて悲しいだけじゃないか。もう大丈夫、冷えた身体を探さなくて、いいんだよ。

 
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