想い出横丁一丁目。/哀詩
 
く、
フィンガーピッキングでははがれないマニキュアを、




左の爪をやする。
短く短くしても
爪と指の間に入る二弦

痛くはない、
いいえ、やっぱり少し。


肉体的な痛みを憶えたわたしは指をなめると、
停止の狭間に身を押し込めました。



すると光るラッカーのボディに
透き通るひとつの水滴がたれました。


気付けば頬をぬらす雨だれは
ストレス物質を含んだためか塩気を帯びて


既に光っているボディに三筋ほどの川を流すのです。

 

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