「存在の彼方へ」を読んでみる2/もぐもぐ
 
、実存主義のリーダーとして一世を風靡したサルトルのことを、多少は意識していたのかもしれない。
サルトルの立場は無神論的実存主義と言われていた。神の概念に依拠することなく、存在について考えるというものである。恐らく、中世からの伝統として、西欧哲学においては、神について考えることこそが存在について考えることであったのだろう(人生について考える際に、神について考えないわけにはいかなかったという感じだろうか)。近世哲学は、ヒュームとかカントのように、認識論的に思考するか、それともヘーゲル、フィヒテ、シェリングといったように、やはり神を念頭に置きながら存在論を組み立てるかのいずれかであった(ようである)。
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