「存在の彼方へ」を読んでみる2/もぐもぐ
私は「存在の彼方へ」という書物は、宗教的な思想内容を、哲学の用語で叙述したもの(即ち神学)の書物だと思っている。「存在に感染せざる神の声を聴くこと」という前書きの言葉は先に引用した。仮にここでいう存在を「生」とか「生活」と取ることが出来るなら、レヴィナスの目標は、「生活に汚染されていない神の声を聴くこと」ということになる。これが一定の宗教的な前提をもったものであることは明らかだろう。
宗教を盲目的な信仰に局限して捉え、宗教には一切合理的内容はないと考える人もいる。
だが少なくとも、その社会で通用している道徳や倫理の問題に、頭を悩ませたことがない人というのはあまりいないのではないだろうか
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