「 空白、の。 」/PULL.
を書き、わたしの眼を、痛くする、わたしはすべてを閉ざし、何も読みたくないはずなのに閉ざすことができず彼を、読み続けている、彼は書き続け文字はどこまでも続きやがて彼は紙を使い果たし、壁に、彼を書きはじめる、壁が彼で埋め尽くされる、彼が四方から壁となってわたしを覆い尽くす、わたしはからだじゅうが眼になったように、痛くなる、いなくなる、ある夜、書き疲れた彼を残し、わたしは部屋を出る、扉をかたく閉め、長い廊下を這うように歩き、何度も何度も後ろを振り返りわたしは彼が、彼の文字が追ってこないかを確認する、わたしはひとり外に出て、バスに乗る、バスの中には運転手の他に幼い少年がひとりいて、わたしはその前に座る、眼
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