ゆりかご/氷水蒸流
 
緑は木々の透明をろ過する
歌おうと
目の穴を
鳥たちの影は細く伸びゆき
皿に盛り付けた朝を啄む

ありふれた爪痕で編まれ
内臓はひらかれ
時に浮かべられる
せせらぎとともに
薄い結石がぬくもる
光をくゆらし
肉をくゆらし

赤黒い銀河が散り落ちる
軋る鉄の牙の間で
沈黙の片足がひくついている
溶けた羊の鳴き声をたよりに
青い雲を追う狩人
狩人を追う青い雲

安寧はクジラのように空を潜る
分け隔てなく
飲み込み、流出してゆく
崩れかけた黒い山肌を
指紋のない銀のスプーンを
言葉のない赤子の瞳を


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