スーパーの朝市/オイタル
草色の風過ぎ行く早朝五時半の晴天の
スーパー○○朝市の駐車場は
車と人とささやかな諦念とで 満員
ところで不思議なことに
売り子の呼び声も客の喧騒も
皆目聞こえず ほんと聞こえず
朝市に並べられた商品は淡々と
まことに淡々と売りさばかれてゆき運ばれてゆき
西の山際に薄青い雲が
わずかに わずかにかかるばかり
わたしは女に伴って
砂糖を二つ買いに行き
余計なことに関わりあって
しかられる
砂糖をねらう一列は
風のかなたにその終わりを
なびかせて
「海苔が一缶しか残ってないから…」
「あの人も、朝早くからこっちで。…」
「こうはやいと目が回る…
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