Bob/わら
ずいぶんと歩いていた
ぼんやりとそれだけはわかる
ふくらはぎの痛みの感覚は通り越して
いつか読んだ本の陳腐なストーリーのセリフみたいに
「それでも行きたい先がある限り歩くんだ」
と言い聞かしていたら
ずるずると引きずる鉛みたいな甲の下に
足の指は折れそうな感覚になっていた
ああ、ろくでもないことは
やっぱり、するもんじゃないな
ビルの隙間で
沈みかけている陽射しに
すこし、苦笑いをしてみる
風がここちいい
この街はクラクションが鳴りやまない
飛びかう声
活気、いや、熱度
においもだろうか
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