ナナカマド/Utakata
1.
夏の最期に間に合うようにそろって頼んだ檸檬水を交互に啜っては、八月をひたすら微分してゆく。向かいに座ったともだちの袖口から空色の蜥蜴が滑り落ちて、小さな鳴き声を立てると凄い速さで店の外へと走り去っていく。それが当然だというふうにともだちはにこにこと笑っているので、ついに質問をすることができずに居心地の悪いまま檸檬水を小さく吸い込む。微分された夏がだんだんとゼロに近づいていく。
2.
幼い約束のようにして掌に掬った七竈の実が零れ落ちる速度に堪えられない。
(1)
雨上がりの振りをした空をひと睨みして歩き出すとすぐに、ランドセルを背負った昔の自分
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